
空手の発祥の地と言われている沖縄の空手家、喜友名(きゆな)諒(りょう)さん。
空手がはじめてのオリンピック競技となり、日本代表にも選ばれている日本の空手の第一人者である喜友名諒選手。
流派は劉衛流(りゅうえいりゅう)で、もとは門外不出の一子相伝でした。劉衛流に属する喜友名諒選手のプロフィールや戦績、現在の姿などを紐解きたいと思います。
初めてオリンピック競技となった空手の日本代表
1990年7月12日、沖縄県生まれ。空手界では、絶対王者と言われています。
個人形で 2014・16・18 年と 世界選手権を3連覇と継続中。
さらに全日本選手権は2012年から9連覇中、東京 2020 オリンピック予選シリーズでは、出場した 11 大会全てで優勝するなど圧倒的な成績を残しています。
今、最も金メダルに近いとまでささやかれているんです。
中学生のころ全国大会で優勝し、劉衛流の初の弟子となる
5歳のときに友だちに誘われて空手を始めた喜友名選手。
中学3年生のとき:劉衛流空手家・佐久本嗣男(さくもと つぐお)さんに弟子入りします。
劉衛流とは、劉龍公の中国拳法と中国兵法をルーツに持つ空手です。劉龍公の劉と2代目憲里(のりさと)の唐手名である衛 克達から1文字ずつ取り「劉衛流」と名乗ります。
家訓として「武力は心の支え、身を守り、みだりに発動すべきものでもなく、軽々しく伝人に伝授してよいものでもない。門外不出、一子祖伝にせよ」と残しており、永らく一子相伝の秘伝とされてきました。
ですが、佐久本さんが劉衛流の4代目憲孝に師事し門戸を開き沖縄劉衛流龍鳳会を開いたのです。
佐久本さんも空手家として数々の戦績を残しています。
特にワールドゲームズ空手部門・形競技で7連覇し、ギネスブックに認定されています。
喜友名選手は沖縄劉衛流龍鳳会の門をたたき、佐久本さんに師事し空手を学んでいきます。
興南高校時代はインターハイで3回戦どまりでしたが、大学時代に才能が開花します。
沖縄国際大学3年生に全日本学生選手権(インカレ)で優勝すると、翌2012年にフランスで開催された世界選手権に初めて日本代表として出場します。
2014年8月、初めて沖縄で開催されたプレミアリーグで優勝します。11 月の世界選手権で初の世界一に輝きます。さらに 2016 年の世界選手権では、個人・団体の2種目での世界一になります。個人形での世界連覇だけでなく、団体形チームでの結成8年目の悲願を達成し、世界で確固たる地位を築きあげます。
そして、世界選手権では個人形3連覇中。全日本選手権では9連覇中と圧倒的な成績を残しオリンピックに挑みます。
現在は師範として道場を開いている
喜友名選手は現役として活躍しながら、は2014年に『劉衛流喜友名龍鳳館』という道場を開きました。
365日毎日練習を行っていて、毎日午前11時ごろから夕方くらいまで、師匠の佐久本さんに形の稽古。
夕方以降は、曜日によって、自分で形の動きを再確認、ウエイトトレーニング、道場で子供たちの指導。佐久本さんとの稽古の前に個人練習を行う日もあるというハードスケジュールです。
さらに、佐久本さんの指導のもと、琉球の歴史的文化である琉球舞踊、三線(沖縄の三味線)を体験し、感性を磨き、空手道に通じるものを感じ取り演武に生かしています。
独特の身体全体を使った柔らかい動き、無駄のない技、リズム、目線など、演武に生かし、新たな気づきとして精進しています。
体さばきをして攻撃に移る形を表現している劉衛流の空手の型として「アーナンダイ(最高レベルとされる形の一つ)」という形をもっともっと研究して奥深さを知り、自分のものにするべく精進する喜友名選手。
誰よりも速く、強く、正確に、を突き詰めた究極の形を自分自身でどれだけ磨き上げていくか、終わりのない鍛錬は続きます。
2014年に佐久本さんに一喝されたことがありました。
世界選手権初優勝後の日本選手権後の内容が納得できるものではなく、佐久本さんに「もう一度、生活の全てを見直しなさい」と一喝されたのです。
そして、道場の掃除を率先してするように命じられたのです。
「まだまだ粗い。もっと『気づき』『気配り』の深くできる男になってもらいたい。それが、形の細かな部分にも出てくる」という意図だったのです。
このように自分自身を見つめ直し、身体だけではなく精神も鍛えているのです。
まとめ
「空手家として空手とは何か」とインタビューで質問され
“今は(道場の)指導者として自分の職業にもなっています。自分の道を空手で作ってきました。空手を通していろいろな人と出会えたり、精神面や生活面のことも学べたりするので、自分の「道」だと思います。”と答えています。
自分の道を進みながら、空手にとって初の五輪開催となる東京 2020 大会で、沖縄の誇りを示す演武を目指す喜友名選手。
その演舞は確実に歴史の1ページになるでしょう。