
ベネズエラ共和国出身のホセ・アルトゥーベ選手に対するバッシングが今波紋を呼んでいます。
メジャーリーグのヒューストン・アストロズに所属するアルトゥーベ選手は試合で相手チームのサインを盗み有利に試合を進めたとして批判されていました。
アストロズの電子機器を使用したサイン盗み
2017年に大規模な世代交代を図ったアストロズはヤンキースからブライアンマッキャンや青木宣親などを獲得しました。
特に印象的だったのは5月に行われた敵地ツインズ戦で2-8とリードされながら一挙に11点を取り16対8として勝利した試合でした。
アストロズの17年シーズンの強さが詰まった試合に全米が注目し、驚かされました。
そこからも順調に勝ち進んでいったアストロズはワーリドシリーズ進出を果たします。
そこでもスプリンガーがワールドシリーズ初となる4試合連続ホームランを打つなどして球団史上初のワールドチャンピオンに輝きました。
9月の「ハーヴィー」で莫大な被害を受けたアストロズの地元にとってはとても喜ばしいニュースでした。
しかしながら、2019年終わり頃に敵チームのサインを盗み、不正を行いながら試合をしていたことが明らかになりました。
このニュースは全米にすぐさま広がり、批判が球団のみならず関係者らや選手にも渡ってしまいました。
17年のサイン盗み疑惑を認め、謝罪したアルトゥーベ
スポーツ専門サイトの「The Athletic」は球団関係者らの何名かに話を聞き、この事実を公表しました。
その関係者の中には当時球団に在籍もしていたマイク・ファイアーズも大きく貢献し発言したと言われています。
その証言は衝撃的なものであり、すぐさま全米に広がってしまいました。
センター後方に位置していたテレビカメラからの映像を解析し、捕手のサインを読み取っていました。
そしてゴミ箱を叩く音などからそのサインを打者に伝えていました。
この他にもユニホームの下に電子機器を仕込んでいたとも疑いをかけられています。
そしてMLBもこれを無視できず、調査に乗り出した結果不正が発覚しました。
この事実を認め、アルトゥーベ選手も謝罪を公の場で行いました。
しかしながら、この謝罪会見を分析したボディーランゲージの専門家はアルトゥーベ選手が本音を言っていないと説明しています。
「台本にそった嘘っぱち」と述べた上でこの謝罪会見に心がこもっていないと批判しています。
謝罪後も試合の度に大ブーイング
アルトゥーベ選手の他にも関係者らは謝罪会見を行い、今回の不祥事について深く反省している姿勢を見せていました。
しかしながら、このような卑怯な真似をとり世界一に輝いたアストロズに良い印象を持つ野球ファンはいませんでした。
チームに対しては500万ドル(約5億5000万円)という最高額の罰金がMLBから請求されました。
A・J・ヒンチ監督に加え、のGMジェフ・ルーノウは1年間の活動禁止処分を受けます。
このヒンチ監督が今回のサイン盗み騒動の首謀者であることが調査によって明らかになっています。
さらに、追い打ちをかけるべく20年と21年のドラフト会議での1、2巡目の権利を剥奪されました。
これに対して全米の野球ファンは妥当な判断として肯定していたそうです。
しかしながら、アストロズへの印象は堕落してしまっていました。
その印象のまま来シーズンに挑んだアストロズは観客から酷い仕打ちを受けることになりました。
試合のたびにブーイングを受けるなど、サイン盗みを許さない声が長い間続きました。
最大の被害者ダルビッシュも同情する現状
このようにサイン盗みという不正を働いて世界チャンピオンとなったアストロズですがその称号の正当性に疑問の声が多数上がっています。
これにはメジャーでプレーする数々の日本人選手も口を開きました。
田中将大選手は現地メディアの取材に対してアストロズの優勝が正当なのかどうかという疑問を投げつけました。
このような日本人選手の発言は国内メディアでも大きくとりげられることとなりました。
ワールドシリーズでの被害を葬った日本人選手もいました。
それはシカゴ・カブスで活躍するダルビッシュ投手です。
第3戦と7戦で二度先発したダルビッシュ選手の投球はいつも通りかそれ以上のキレでした。
しかしながら、二試合とも序盤から失点を許しノックアウトされる羽目になりました。
自身を攻めたダルビッシュ投手でしたが、のちに発覚した事実はサインを盗まれていたということでした。
「最大の被害者」と称されたダルビッシュ選手でしたが、卑劣なバッシングの続くこの状況に同情さえするということが起きています。